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イラスト依頼の例文とテンプレート——最初の一通で伝えるべき8項目

読了7分 推し絵のススメ 編集部
手紙が入った封筒とノートパソコンのイラスト

メインビジュアル:推し絵のススメ編集部(本記事のために制作したオリジナルイラスト)

■この記事の要点
  • 最初の一通に入れる8項目は、名乗りと連絡先/何を見て連絡したか/依頼内容と点数/用途と掲載媒体/利用範囲と期間/納期/予算/返事の期限。
  • いちばん誤解を生むのは形容詞。「かわいい感じで」「エモい雰囲気で」は、線・色・構図の言葉に言い換える。
  • 修正を頼むときは、直してほしい箇所とその理由をセットで書く。「イメージと違う」だけでは動かす場所が分からない。
  • 断られにくくするには、作品を具体的に挙げ、予算と納期を隠さず出し、返事の期限と断る余地を添える。
  • 8項目のうち埋まらない欄は、相手に聞くことではなく社内でまだ決まっていないこと。先に決めてから送る。

イラストレーターに声をかけるとき、最初の一通で手が止まる人は多いはずです。失礼にならないか、情報が足りているか、いきなり予算の話をしていいのか。迷っているうちに、当たり障りのない短文になってしまう。

ところが作家の側から見ると、短すぎる依頼はいちばん返事に困る種類のものです。受けられるかどうかを判断する材料がないので、質問から始めるしかなく、結果的にお互いの時間が延びていきます。

この記事では、そのまま使える例文と、何を書けば過不足がないかの8項目を渡します。

最初の一通に入れる8項目

項目 なぜ必要か
① 名乗りと連絡先 個人か法人か、どんな事業をしているかで受けられる仕事かが変わる
② 何を見て連絡したか どの作品に惹かれたかは、作風の期待値をいちばん正確に伝える
③ 依頼の内容と点数 1枚なのか、シリーズなのかで進め方が変わる
④ 用途と掲載媒体 どこに載るかは金額と作業量の両方を左右する
⑤ 利用範囲と期間 あとから揉めやすい部分。最初に出しておく
⑥ 納期 スケジュールが合わなければ、他がどれだけ良くても成立しない
⑦ 予算の目安 伝えないほうが不親切。範囲で言い切ってよい
⑧ 返事のほしい期限 待つ側・待たせる側の双方が動きやすくなる

そのまま使える例文

はじめて連絡するとき

件名:イラスト制作のご相談(株式会社◯◯/新商品パッケージ)

◯◯様
はじめてご連絡いたします。株式会社◯◯で商品企画を担当しております△△と申します。◯◯様の「(作品名)」を拝見し、線のやわらかさと色の温度感が、今回のお願いしたい企画にとても合うと感じてご連絡しました。

弊社で今秋発売する焼き菓子のパッケージに使うイラストを1点、あわせてSNS告知用の切り出しを2点お願いできればと考えております。掲載媒体はパッケージ、自社サイト、SNSの3つで、利用期間は2026年11月から1年間、非独占を想定しています。

初稿を◯月◯日、最終を◯月◯日にいただけると進行が組めます。ご予算は◯◯円前後を想定しておりますが、条件を調整しながらご相談させてください。

お受けいただけるかどうか、◯月◯日ごろまでにご返信いただけますと幸いです。ご不明な点があれば何なりとお知らせください。よろしくお願いいたします。

修正をお願いするとき

修正の依頼は、直してほしい箇所と、その理由をセットにすると伝わります。「なんかイメージと違う」だけでは、作家はどこを動かせばいいか分かりません。

◯◯様
初稿をありがとうございました。全体の空気はまさに思い描いていたとおりで、社内でも好評でした。2点だけご相談させてください。

1つ目は主役の焼き菓子の位置です。パッケージに載せると右端が断裁にかかるため、中央寄りに2〜3cmほど動かしていただけないでしょうか。2つ目は背景の色味で、店頭の棚が白基調のため、背景をもう一段濃くすると輪郭が立つと考えています。

いずれも技術的に難しい場合は、代わりの案をご提案いただけると助かります。

曖昧になりやすい言葉を言い換える

依頼文でいちばん誤解を生むのは、形容詞です。同じ言葉でも、人によって思い浮かべる絵がまるで違います。

伝わりにくい言い方 伝わる言い換え
かわいい感じで 線を細くして、彩度を落とした中間色でまとめてほしい
エモい雰囲気で 夕方の逆光のような、影が長く伸びる時間帯の光にしたい
おしゃれに 装飾を減らして、余白を大きく取った構図にしたい
高級感を出して 色数を3色までに絞り、金や箔の表現を1か所だけ使いたい
ポップに 原色を並べて、輪郭線をはっきり描いてほしい
いい感じにお任せで この3点を必ず入れて、それ以外はお任せしたい

言い換えが難しいときは、参考になる作品を2〜3点添えるのがいちばん早い方法です。「これに近い」と「これとは違う」を両方出すと、さらに精度が上がります。

断られにくくするために

  • 作品を具体的に挙げる……定型文の一斉送信ではないと伝わる
  • 条件を先に開示する……予算と納期は隠さず出す
  • 返事の期限を添える……検討する側の負担が軽くなる
  • 断られる余地を残す……「難しい場合は遠慮なくお知らせください」の一文
  • クレジットの扱いを書く……作家名を出すかどうかは重要な判断材料

なお、返事が来ないことを催促し続けるのは逆効果です。期限を過ぎたら静かに次へ進み、また別の機会に声をかけるほうが、長い目で見て良い関係が続きます。

送る前に見直す5点

見るところ よくある抜け
用途が書いてあるか 「イラストをお願いしたい」だけで、どこに載るか書いていない
期間が書いてあるか 納期は書いたが、使用期間を書き忘れている
点数が書いてあるか メイン1点のつもりが、切り出しも含むと思われている
予算に幅を持たせたか 1円単位で提示すると調整の余地がなくなる
返事の期限があるか 期限がないと、判断が後回しになりやすい

もう一つ。宛名と作品名が正確かは必ず確認してください。名前の表記ゆれや、別の作家の作品を挙げてしまうミスは、それだけで「よく見ていない依頼」と受け取られます。

返事が来てから初稿までに決めること

受けてもらえることになったら、描き始める前に次の点を固めます。ここが曖昧なまま進むと、初稿を見てから大きく戻ることになります。

  • 掲載面の実寸と余白……断裁される範囲、ロゴが重なる位置
  • 入れる要素と入れない要素……必ず描くもの、描いてはいけないもの
  • 確認の回数とタイミング……ラフ、線画、着彩のどこで見るか
  • 決裁する人……最終的に「これで進める」と言う人は誰か
  • 納品形式……解像度、カラーモード、レイヤーの有無

特に確認のタイミングは先に合意しておくと効きます。ラフの段階で構図を決めきってしまえば、着彩後の大きな修正はほぼ起きません。

やってしまいがちな書き方

避けたい書き方 なぜ困るか
「予算は応相談でお願いします」 作家側から金額を出しづらい。範囲でいいので先に示す
「とりあえずラフだけ見せてください」 ラフも制作物。無償の前提で頼まれると受けにくい
「簡単な絵なのですぐできると思うのですが」 工数の見立てを発注側が決めてしまっている
「イメージと違ったら何度でも直してください」 上限のない修正は引き受けられない
「他の方にも同時に声をかけています」 相見積もり自体は普通。ただし黙って進めるより先に伝えるほうが誠実
「拡散されるので実績になりますよ」 露出を報酬の代わりにする提案は、多くの場合断られる

相見積もりと、実績公開の確認

複数の作家に同時に声をかけること自体は、まったく問題ありません。気をつけるのは伝え方です。

  • 先に伝える……「複数の方にご相談しています」の一文を入れておく
  • 同じ条件を渡す……人によって条件を変えると比較にならない
  • 結果を必ず返す……見送る場合も連絡する。次につながる
  • ラフでの比較はしない……制作物を無償で集める形になってしまう

もう一つ、忘れられがちなのが実績として公開してよいかの確認です。作家にとってポートフォリオは次の仕事につながる資産ですが、発注側には発表前の商品や非公開の案件という事情があります。「いつから公開してよいか」「どこまで書いてよいか」を、発注の時点ですり合わせておくと、あとで慌てずに済みます。

よくある質問

SNSのDMで送ってもいいですか

作家が窓口として案内していれば問題ありません。ただしDMは流れやすく、条件の込み入った話には向きません。最初の一言をDMで送り、詳細はメールに移す——という二段構えが実務的です。その場合も、DMの時点で何の用件かは明示してください。

返事が来ないときは、どうすればいいですか

1週間ほど待って、一度だけ短く確認の連絡を入れます。それでも反応がなければ、今回は縁がなかったと考えて次へ進むのが健全です。受注状況や体調など、こちらからは見えない事情があります。

個人でも法人に依頼できますか

できます。ただし個人か法人かで、契約や請求の手続きが変わることがあります。最初の一通で名乗るときに、どちらの立場からの依頼かを書いておくと、受ける側が進め方を組み立てやすくなります。

英語でやりとりする場合も同じですか

8項目の考え方は変わりません。むしろ言語が違うぶん、用途・範囲・期間・独占の4点は箇条書きで明確に書くことが効きます。形容詞に頼らず、参考作品を添える方法も同じように有効です。

テンプレートとして持っておく

8項目を埋める形で社内に雛形を1つ置いておくと、担当者が変わっても依頼の質が落ちません。埋まらない欄が出てきたら、それは相手に聞くことではなく社内でまだ決まっていないことです。そこを先に決めてから送ると、最初の一通で話が前に進みます。

依頼文は、作家に判断材料を渡す書類であると同時に、自分たちが何をつくりたいのかを整理する道具でもあります。8項目を埋める作業そのものが、企画の輪郭をはっきりさせてくれる。書きながら迷いが出てきたなら、それは相手に伝わる前に見つかった、ということでもあります。

※ 本記事に掲載しているイラストは、当メディアのために制作したオリジナル作品です。 記事中で言及する作品・キャラクター・商品名の著作権は各権利者に帰属します。

OSERU IMG.

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